穢れなき雪の下で
「ねぇ、イチロー。
 お腹すいた?」

不意に上目づかいで俺を見上げてくる。
その表情に、俺は弱い。

「……だって20時から……」

「2時間限定?
 そんなお店なわけないじゃない」

ミユは、いたずらを仕掛けた子供のようにくすりと笑う。

「じゃ、なんで……」

そんなウソを、と口にする前にミユが続ける。

「こんな日に、いくら友達とはいえこんな日に延々と拘束するのは失礼かなーって思って、私なりに気を遣ったつもりだったのに」


――相変わらず。
  彼女の気の遣い方は、かなりずれている。
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