穢れなき雪の下で
「イブに失恋とか、笑えないよねぇ。
 お店キャンセルして、帰ろうか」

ミユは、携帯を見ながら言う。
店の電話番号を探しているんだろう。

一人でイブを過ごすのが淋しいから俺を誘ったくせに、失恋して淋しすぎると一人になりたがる、なんて。

やはり、彼女は少し変わっていて、でも、そういうところがすごく可愛いと思ってしまう。


つまりは、俺も少し変わっているんだろう。



俺は、電話を取り上げた。

「ちょっとー」

唇をとがらせて、俺に手を伸ばすミユのその手を握りしめる。


降りしきる雪の中で、冷え切ったその手を。
< 35 / 38 >

この作品をシェア

pagetop