カテキョにぞっこん!
いつもは軽くセットされて、ふんわり浮いている前髪も
雨に濡れたせいでしっとりおでこを隠していて。
幼く見えてしまうような
その雰囲気に
私はまた、ドキッとさせられて。
諦めようって決めてたのに
……困っちゃうな。
「これが受験日までの計画です。この通りにやればあとは大丈夫だと思います」
見納めとばかりに、私はずっと陽サマを眺めてる。
それに気付いて
複雑な表情をする陽サマ。
「他の家庭教師が来るなら別ですが、今後のことですからちゃんと聞いてください」
困ったようにノートを見下ろしたまま私に言う。
最後なんだから、
どの言葉もちゃんと私の方を見て話してくれればいいのに。
えいっ!
私は陽サマのメガネを取り上げた。
濡れた髪の間から、ちょっとだけ見えるきれいな目をきょとんとさせて
陽サマはなんとも言えないような可愛い顔をする。
「……由利さん。時間がないこと分かってますか」
少し怒った?
でもいいの。今日はいろんな陽サマが見たいんだもん。
「だってデートの時は外してました」
「……!どこで見たんですか」
ほら、今度は赤くなった。
……大好き。