花火の日
 部屋を出て、和室のふすまをそろっと開ける。テレビを見ながら横になる、おばあさんの姿。

 「おばあちゃん、予定通り、わたし明日帰るね」

 はっきりとした口調でこう言った。

 「やっぱり帰るのかい。寂しいねぇ」

 画面から目を離し、優しい目をしながらも、どこか残念そうなおばあさん。

 みさこが泊まっているのは、祖父母が残る実家。

 もう寝てしまった祖父には、明日あいさつすることにし、今日はもう眠ろうと決めた。

 泣き疲れていたのか、ベッドの中ですぐに落ち着くみさこ。田から聞こえるカエルの合唱も、今日は全く耳に入らない様子だった。
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