あくまで天使です。
「ちょっあんたには無理だって。下がってな」
「なめてんじゃねぇぞ。仮にもおれはピタゴラスの定理を作ったピタゴラスとニケツした男だ」
「ピタゴラスバイク知ってたの!?」
それに数学とはまったく関係ない。そうか、ピタゴラスは天国へ行ったのか………と感傷に浸っているとべリアルが素早く私の手元から、参考書をかっさらっていった。
「えーとx=1またはx≠10)でない= (x=1でない)かつ(x≠10………」
途中で問題文を朗読していた声が止まる。
私はもの言いたげな目を後ろへやった。べリアルは眼前に参考書を持ち上げたまま微動だにせず、ただ立ち尽くしていた。
「………べリアル?」
名を呼んでみるも、耳がなくなったかのように身動き一つしない。