あくまで天使です。


ガラス張りのカフェに入って行った二人を、道路を挟んだ小さな丸窓から舐めつけるように注視する。


そのやる気は、店前のガラスケースに飾ってあるおもちゃを見つめる時以上の注意深さだった。


のどが渇いていたので、コーヒーをすする。舌を火傷した。


どうせ向こう側の声は聞こえないのに、店内の喧騒に心の中で八つ当たりする。


それはただ、私がこの春季にサングラスとマスクをつけているだけだったのだが、私は当然気にしない。花粉症対策、とでも言わんばかりの態度でいれば問題はない。


「何言ってるのか分らん………」


『そりゃそうだろ。聞こえたらおまえは人間っおっとすでに人の枠を超えた馬鹿だったな』


いい声でけなしてくるべリアルを一喝しておく。


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