カエルと魔女の花嫁探し
 ペタペタと足音を立てながら部屋へ現れたのは、ヒキガエルほどの大きさはある、でもお腹はスリムな緑のカエルだった。
 しきりに涙を拭っているが間に合わず、体が涙に塗れて物悲しげな深緑になっている。

 ふう、と息をついてから、セレネーは立ち上がってカエルを見下ろした。

「一体どうしたのよ王子? 女子供じゃあるまいし、そんなに泣いても、なんの解決にもならないでしょ? いい加減泣きやんで、話を聞かせなさいよ」

 甘やかさないセレネーのひと言で、カエルは必死に涙を拭い、こみ上げる嗚咽をこらえる。

 いつの間にかセレネーの肩に登ったネズミは、カエルを物珍しそうに覗き見てから小声で訪ねてきた。

『え、コイツが王子様? こんなに泣き虫で、王子様っていうオーラもないのに? オイラの知ってるカエルの王様は、もっと堂々としていて威厳があったよ』

「言っとくけど、コイツ一応人間の王子だから。悪い魔女に魔法をかけられて、カエルになっちゃたのよ」

『ふーん。魔法のせいで姿だけじゃなくて、王子様オーラもなくなっちゃったんだ。可哀想に』

「……アンタ、何気にひどいわね」
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