カエルと魔女の花嫁探し
なにを言っているのか分からないのを良いことに、ネズミは好き勝手に話す。
それを見やってから、セレネーはカエルが泣き止むのを待つ。
数分後。
嗚咽がようやく消えて、カエルは泣きすぎて真っ赤になった目でセレネーを仰いだ。
「お見苦しいところを見せてしまって申し訳ありません」
「気にしてないわ。……何があったの?」
「実は、その……カエルの呪いが解けないのです。せっかくセレネーさんに解呪の魔法をかけてもらって、それを発動させる条件も満たしたはずなのに……」
言い終わらない内に、カエルはうなだれた。
かけられた呪いを解くためには、解呪の魔法が不可欠だ。
ただ、魔法をかければいいという訳ではなく、それを発動させる鍵が必要なのだ。
呪いの力が強ければ強いほど、解呪の条件は厳しさを増す。
呪いを解くためには、それを上回ることをやり遂げて、魔法を上塗りしなくてはいけない。
以前、生まれて間もない姫に『十五歳で死ぬ』という呪いがかけられた時、セレネーが解呪の魔法を施したのだが――。
その姫は百年の眠りと王子のキスでようやく目覚めるという条件だった。
姫はまだ幼く、ひたひたと近づいてくる苦難を知らない。
死に関わることはそれだけ大きな代償が必要となる。
が、ただ姿を変えるだけの魔法は、あの姫の呪いに比べれば、まだ易しくて単純だ。あくまで比べればの話だが。
セレネーは苦笑しながら首をかしげた。
「解呪に必要なのは、王子へ心からの愛を捧げる乙女のキス。カエルにキスできる娘を見つけるのは難しいとは思ってたけど……でも王子、話からするとキスしてもらえたって事よね?」
「はい……とても可憐で優しい姫で、何度も逢瀬を重ねて、楽しくお喋りして――ようやく将来を誓い合う仲になって口づけを交わしたのですが……結果は見ての通りです」
こんな時に嘘をついても、なんの意味もないはず。そもそも、嘘をつけるようなヤツじゃない。
それを見やってから、セレネーはカエルが泣き止むのを待つ。
数分後。
嗚咽がようやく消えて、カエルは泣きすぎて真っ赤になった目でセレネーを仰いだ。
「お見苦しいところを見せてしまって申し訳ありません」
「気にしてないわ。……何があったの?」
「実は、その……カエルの呪いが解けないのです。せっかくセレネーさんに解呪の魔法をかけてもらって、それを発動させる条件も満たしたはずなのに……」
言い終わらない内に、カエルはうなだれた。
かけられた呪いを解くためには、解呪の魔法が不可欠だ。
ただ、魔法をかければいいという訳ではなく、それを発動させる鍵が必要なのだ。
呪いの力が強ければ強いほど、解呪の条件は厳しさを増す。
呪いを解くためには、それを上回ることをやり遂げて、魔法を上塗りしなくてはいけない。
以前、生まれて間もない姫に『十五歳で死ぬ』という呪いがかけられた時、セレネーが解呪の魔法を施したのだが――。
その姫は百年の眠りと王子のキスでようやく目覚めるという条件だった。
姫はまだ幼く、ひたひたと近づいてくる苦難を知らない。
死に関わることはそれだけ大きな代償が必要となる。
が、ただ姿を変えるだけの魔法は、あの姫の呪いに比べれば、まだ易しくて単純だ。あくまで比べればの話だが。
セレネーは苦笑しながら首をかしげた。
「解呪に必要なのは、王子へ心からの愛を捧げる乙女のキス。カエルにキスできる娘を見つけるのは難しいとは思ってたけど……でも王子、話からするとキスしてもらえたって事よね?」
「はい……とても可憐で優しい姫で、何度も逢瀬を重ねて、楽しくお喋りして――ようやく将来を誓い合う仲になって口づけを交わしたのですが……結果は見ての通りです」
こんな時に嘘をついても、なんの意味もないはず。そもそも、嘘をつけるようなヤツじゃない。