スターレディ物語
「な、何でも頼んで下さい……」


素は照れながら、お品書きを手渡した。


男性は、ニッコリ笑う。


「有名な方とは知らなくて。申し訳ありませんでした」


男性は、軽く頭を下げた。


「と、とんでもないです……」


素は困ったように笑う。


「バンドとしても、まだまだ未熟です、し。年ばかりとって。あんな風にお弁当……」


素は父親と母親の笑顔を思い出した。


「わたしも、あんな風に美味しく作りたいです」


男性は、目を細めた。


「教えましょか?家政婦は優秀ですから」


素は動きが止まった。


チラッと左手の薬指を見ると、シルバーのリングが光っていた。


「い、いえ!結構ですので。あ、あの、ぼ……わ、わたし、忙しいのでこれで」


素は慌てて、立ち上がった。
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