珈琲時間
12/3「お見通し」
 幼馴染と親友を手放したくなくて、幼馴染の友人と付き合いだしたのは、いつのことだったろうか。
 はじめから4人だったわけではない。
 3人になって自分だけ自然とあぶれてしまう。だから幼馴染と親しい絵里奈を自分の彼女にしたのだ。

 「公子ちゃん綺麗だったねぇ」
 柔らかなピンクのフォーマルドレスを着て俺の隣に立っている絵里奈は、学生時代から変わらない笑顔を浮かべている。
 「典孝くんも、かっこよかったし」

 今日は幼馴染と親友の結婚式だった。
 
 「本当に。結婚するんだなぁ、あいつら」
 「……その言い方、なんか娘と息子を手放す父親みたい」
 (似たようなもんだろ)
 苦笑しながら、それでも考えていることが伝わらないように絵里奈の頭を小突く。
 3人組の中の2人がくっついた時に、半ば強引に彼女にした絵里奈は、すんなりと俺らに溶け込んだ。
 今まで俺らと一緒に行動していた公子が、絵里奈と居る時間が長くなった。その間俺は典孝と過ごすことが出来たし、絵里奈が公子のことを詳しく教えてくれたから、公子との距離も変わることがなかった。
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