魔王と王女の物語

妖精の森

妖精の森に向かっている間何度か魔物の襲撃を受けて、しかしグラースがものすごく強く、次々に魔物を倒して行き、

最近は連携もできて、ラスに指一本触れさせることなく短時間で倒すことができていた。


「リロイ、お疲れ様。お水飲む?」


「ん、ありがと。で…そこの影は今日も何もしてなかったみたいだけど?」


「ああ?俺は魔法使いだから肉体労働は好きじゃねえんだよ」


「じゃあなんで胸の中から剣なんか出て来るんだ?」


「あれは遊び。俺はちゃんばらごっこが好きなの」


あれからコハクはラスの心理をうまく利用して、くっついたり離れたりを繰り返している。


今は“離れている”時で、多少いらついた表情をしていながらも、ラスがリロイの傍に居ても口出しせずに逆にグラースにちょっかいを出していた。


「お前よく見るとかなりイイ身体してるよな。どうだ、女王から感情を取り返すことができたら遊ぼうぜ」


ひそ、と声をかけると…グラースは鼻を鳴らして小馬鹿にしつつ頬に伸びてきたコハクの手をばしっと払い落とす。


「そう簡単に取り戻せるか?もしできたなら考えてやる」


「なんだその態度。考えてやる?俺、そういう態度嫌いだなー」


剣に付着した魔物の血糊を払い飛ばしながらまたグラースが表情を動かさず失笑した。


「お前はラスが好きなんじゃないのか?」


「チビを抱けねえから他の女で紛らわしてるに決まってんだろうが。ちなみにお前も俺の鬱憤を紛らわす女になる予定ー」


――コハクがグラースと何か話をしている。


守ってくれたリロイにお礼を言って、切れた頬に血止めの軟膏を塗ってやっていたラスの手が止まり、


愛しくて仕方がないけれど、魔王を倒すまではラスに求婚しないと決めたリロイは笑顔でお礼を言って白馬に乗った。


「…コーって…グラースのことが好きなのかな」


「さあ。ほらラス、馬車に乗って。もう出発するよ」


リロイとティアラは仲が良い。

コハクとグラースも仲が良い。


ちょっとだけ仲間外れにされた気分になったラスはしょげながら馬車へと戻る。


その時ちらっとコハクを盗み見た。

グラースと楽しそうにしていた。
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