魔王と王女の物語
ふかふかの絨毯の上に横になったラスは、最近いつも一緒に居ることの多いティアラとリロイの仲に言及した。


「ねえコー、やっぱりリロイはティアラの“勇者様”だったみたいだね。私たち2人共勇者様を見つけたんだね」


…きゅんっっ。


――魔王の胸が特別大きなきゅんの音を立てて、こちらを睨んでいるリロイに優越感たっぷりに鼻を鳴らすとラスの隣に腰かけた。


「あいつらが結婚したら俺たちが仲人してやろうぜ」


「わあっ、それいいね!えへへ、お嫁さんかぁ…。コーのお嫁さん…」


何を想像しているのか、悶えて丸まってしまったラスに対して、


魔王、狼に大変身。


いつか馬車の中でしたように、カーテンを敷くような仕草をすると、リロイたちからは横になったコハクとラスが一緒に寝ているように見えていたが、実際は違う。


ラスに覆い被さったコハクが首筋に数えきれないほどのキスをして、ラスの耳元で囁いた。


「外で、ってのもイイな。チビ…俺もうそろそろ限界だからきっとチビにすんげえことするぜ?」


「すごいこと?楽しいこと?嬉しいこと?怖いこと?痛いこと?」


「えーと、最初は痛いことで、次は気持ちいいことで、次も気持ちいいことで、最後も気持ちいいこと!」


「ふうん、コーはそれを我慢してるんだよね?じゃあコーのお城に着いたらしようね」


「…俺幸せすぎて死にそう!死なねえけど死にそう!」


声が漏れる程きつく抱きしめて愛玩しまくっていると、ラスが小さな声で訊ねてきた。


「ねえ、コーはその…私の…どこが、す、好き?」


「ん?んー、全部じゃね?ビはすっげぇ可愛いんだぞ。俺は世界で1番幸せな男になれるんだぜ」


――ふわふわ。

コハクが愛を囁く度に身体がふわふわして、真っ黒なシャツの下に手を入れてたくましい胸の上に置くと、

ラスに身体を触られたことでそれこそ爆発寸前の魔王はラスの心臓の上に手を置いた。


「コー、ドキドキ言ってる…」


「チビもドキドキしてる。城に着いたらさ、ほんともう俺の頭の中の妄想全部試すから。逃げんなよ」


「逃げないよ。コーこそ逃げないでね」


なんて幸せな時――
< 306 / 392 >

この作品をシェア

pagetop