お姫様だっこ
少しの間だけど、やっと研と2人きりになれた。
「ほんっと煩いくらい元気よね。慎って」
笑いながら研を見上げると
研はムッとした表情だった。
「研どうしたの?顔怖いよ?」
「うーん…なんかさ、お前また慎と会う機会増やしたなぁと思ってさ」
「え?」
「綾のこと協力するっつったじゃん?って事は美優と慎が頻繁に連絡取り合わないとダメって事だろ?」
あ、そっか。慎と話さなきゃ駄目だもんね。
「で、でも…メールとかで済ませるし!会いに行くのとかは控えるよ?」
また研に不安を与えちゃった…?
研はマダしかめっ面だ…。
「まぁいっか。あんまり近付きすぎるなよ?」
「はいっ!」
よしよしって研が頭撫でてくれて少しホッとした。
家に到着。
「じゃマタ明日ね!」
「おう。またな!」
悲しい お別れの時間…
でもマタ明日会える!そう思ってグッと耐えるんだ。
「ただいま…」
「おかえり。ご飯食べなさい」
おばあちゃんがエプロン姿でウロついている。
「わかった」
そう返事して部屋に着替えにいって再び一階に降りて夕食を済ませる。
食べ終えるとスグ自分の部屋に駆け込む。いつもの事。
「あんたはご飯の時くらいしか此処に居ないね!すぐ自分の部屋に閉じこもるね…」
そんなおばあちゃんの言葉なんか無視して
いつも通り部屋に駆け込んだ。
会話はなるべく交わしたくない。
どうせ喧嘩になるから。
お互い機嫌の良い時しか話したくない。
今の言葉は確実にイヤミだったから、あたしが反論すると大喧嘩に発展するだろうから。
これ以上嫌な思いをするのは勘弁。
「早くこんな家から出て行きたい!」
そればかり考える……―