お姫様だっこ
待ち合わせの駅前に着くともう慎が待ってた。
「ごめんね待たせた?」
「待ってない!嬉しいなぁ♪美優ちゃんとお出かけ!」
太陽に負けないくらい眩しい笑顔につられてあたしも笑顔になる。
慎の笑顔は本当に素敵だね。
とりあえず何か食べる事にした。
どのお店にするか悩んでいると…
見てしまった…
遠くに見える研の姿。
研だけならいい。
でも、もう1人あたしのよく知ってる人も一緒だった。
そう、
梨央―。
梨央が研の腕に絡みついて歩いてる。
とっても楽しそうに。
研は後ろ姿しか見えない。
あたしは反対方向へ走り出した。
逃げるように走った。
「美優ちゃん!?」
慎が追いかけてくる。
スポーツ万能な慎の足の速さに勝てるわけが無く、あたしは簡単に捕まった。