愛されたかった悪女
「何か飲む?」


歩くたびに、レモン色のシルクのローブから自慢の長い脚がのぞく。


脚にまだクリームを塗っていない事に気づく。


「いらない 僕が欲しいのは君だから」


キッチンに向かおうとする私を後ろから抱きしめるジョンに足が止まる。


「ローズの香りだ そそられるよ」


「今日はそんな気分じゃないの」


来客がハヤトでなくて、思いのほかショックを受けていた。


抱きしめる腕をほどこうとすると、ジョンの腕の力が強められた。


「僕はそんな気分なんだ バラの香りを漂わせて僕を狂わせる まるで黄色いバラのようだ 黄色いバラの花ことばを知っているかい?嫉妬なんだ 君が隼人さんを思うたびに僕は嫉妬に狂う男になる」


ジョンは私のこめかみに唇を落とした。



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