愛されたかった悪女
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2時間のバスタイムを終え、身体にクリームを塗っていると、玄関のチャイムが鳴った。


エントランスからではなく、玄関のチャイム。


ハヤト?


私は期待に胸を弾ませて、シルクのローブの胸元を指で少しはだけさせると、玄関に向かった。


ドアスコープをのぞくと、思わずため息が漏れる。


ハヤトではなくて、ジョンだった。


ジョンもこのアパートメントに住んでいるので、エントランスを通すことなく玄関まで来られる。


がっかりした表情のままドアを開けた。


にこやかだったジョンの顔が、私を見て表情を曇らせた。


「隼人さんだと思ったのかい?」


「……入って」


私は一歩下がり、ジョンを部屋に入れた。



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