魔女の悪戯
誰も彼もが言葉を失ったが、最初に口を開いたのは王女だった。
「嘘!
レオ、貴方は私の騎士(ナイト)でしょう!?これ以上にない騎士の栄誉を自ら手放すと言うの!?
貴女なら、私っ…」
王女は涙を堪えながら必死に忠純に語りかけた。
忠純は心臓が掴まれたみたいに痛んだが、それを振り切るように言った。
「えぇ。
主たる貴女様を頂戴致します事は最大の名誉。
されど、私はそれよりも貴女様の幸せが大切なのでござりまする。」
ラミア王女を通して、柚姫様に。
本当は愛しくて仕方のないお姫様に。
その、幸せを願って。
「きっと、幸せになれまする。
貴女様なれば、きっと。」
最後に、王女の目をじっと見据えて言った。
「レオ…。」
王女の目に、涙が溜まる。
それを気に入らないといいたげに見る、隣国の王太子。
「誰がこんな我が儘王女が好きだって?」
カイル王子は腹立たしそうに言った。
忠純はあくまで冷静に、
「貴方様にござりまする。」
と言った。
「じょ、冗談じゃないよ。
こんな我が儘ガサツ王女!!」
そういうカイル王子の顔は、真っ赤。
説得力ゼロのその顔を、ラミア王女はただじっと見つめる。
カイル王子は忠純を一睨みし、半ばやけくそで言った。
「ああ、そうだよ!!
好きどころか大好きだよ!!
十年前からずっとっ」
王女はそれに目を丸くした。
「う、嘘よ!
だって、あんなに意地悪ばっかり…」
「好きだからに決まってるだろ!?」
カイル王子、やけくそ。
王女は顔を真っ赤にして、
「なら、早く言いなさいよ!!」
と言った。