魔女の悪戯
なるべく聞き流すよう勤めていたレオだったが、桑姫はついにとんでもない事を口走った。
「のう、忠純。
そなた、姉上ではのうてわらわと懇ろになったらどうじゃ?」
そう言って、桑姫はレオに近づき、腕やら胸やら腰やらを絡めてくる。
一国一城の姫君とは思えないほど、低俗な誘い。
クリスティアでもレオを無理矢理誘ってくる女が後を絶えず、そんな女を最も嫌悪していたため、レオは本気で殴りつけたくなった。
レオはあくまで冷静を装って、
「貴女は貴女だけのナ…守役を見つけて下さい。」
と言う。
桑姫はこめかみをぴくつかせて、苛立ちを隠すことなく言葉を発する。
「わらわはそなたが良いと言うておる。
何ぞわらわに不満でもあるのか。」
「……いえ。
ただ、もっと良い者がいてもおかしくはないかと。」
「わらわがそなた以上はおらぬと言うておるのじゃ!
わらわの物になれ!
ならぬと申さば容赦はせぬ!!」
桑姫は声を荒げた。