魔女の悪戯

──貴方、私のものになりなさい。
私だけの騎士(ナイト)に…──


いつか聞いた、似たような台詞。


その時と今では、明らかに違う。


ラミア王女は確かに我が儘で手がかかり、短気でめんどくさがり。


しかし、誰より美しく良い意味で気高く、国民を第一に考えるような女(ひと)だった。


側に仕えてから、巡遊だ視察だと護衛を自分一人に押し付けて各地を点々とし。


でも何処に行っても皆から慕われた。


もちろん、レオもその一人。


そうでなくては、ラミア王女の我が儘三昧に付き合い切れるわけがない。


桑姫はただ単に姉を第一に考えるこの男が欲しいだけ。


高すぎる自尊心。


五条の方の美しさを受け継ぎ正室腹であるにも関わらず皆が柚姫を慕うのが腹立たしくてならなかっただけ。


柚姫を慕い、桑姫がいつも二番だったのは、身分でも見た目でもなく五条の方の高慢さをがっつり受け継いだその性格ゆえだったのだが、


それに気づかない桑姫は姉の柚姫が大嫌いだった。


< 48 / 73 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop