魔女の悪戯
レオはあくまで冷静。
嫌悪感で吐き気がしそうなのを気合いでごまかし、自分の服を無理矢理まさぐる桑姫を押し退けた。
その衝動で、桑姫は尻餅をつく。
レオはさっと起き上がり、着物を整える。
「貴女は間違っている。」
何が起きたか分からず呆然としていた桑姫だったが、そのあとすぐに一気に頭に血が上っていった。
「おのれ!!」
桑姫はついに懐から懐剣を取り出し、一気に鞘を取り払った。
「なぜじゃ!?
なぜ、皆姉上ばかりなのじゃ!?
ええい、こうなれば、そなたと二人、今この場にて死ぬるわ!!
はっ、姉上の悔しそうな顔が目に浮かぶというものよ!!」
懐剣を手に、レオに向かって一直線に進む桑姫。
あくまで冷静なレオはその手から懐剣を叩き落とし、みぞおちを一発殴った。
桑姫はうめき声を上げ、その場に倒れる。
「お止め下さい。
それ以上は貴女の品位に関わる。」
うずくまる桑姫に、あくまで冷静に声をかける。
その様子を見ていた五条の方は、苛立ちを隠せない。
「なにゆえに嫌がるのや。
殿よりも力のあるわらわと、その娘と親しゅう致せば、そなたの出世は容易ぞ。」
「私が仕えるのは、ただ一人。
その方がご結婚となれば、あとは姫の好きな国の為に、生涯仕えるつもりでございます。」
そう、ラミア王女とクリスティア王国の為に──。
「そこまであの娘が好きか。」
「好き…?
いえ、私にあるのは…」
──忠誠のみでございます。
もしも、人がそれを愛というのなら、
私は王女を愛しているのかもしれない──。