魔女の悪戯
馬車のドアの前にはカイル王子がいて、その周りにカルボーロの騎士と、ロナウドをはじめとするクリスティアの騎士が控えている。
ラミア王女の姿を確認したロナウドは、馬車の扉を開け、一歩引いたところにひざまづいた。
馬車の前でラミア王女は止まり、皆を見渡した。
「みんな、今までありがとう!
またすぐ帰るかもしれないけど、クリスティアをよろしくね!
カルボーロの人たちも、これからよろしく!」
ラミア王女の声に、わっと歓声が湧いた。
「ラミア王女様万歳!」
「次期王妃様万歳!」
それを、一人ふて腐れて見るカイル王子。
「柄にも無いこと言わないでよね。
虫ずが走る。」
「失礼ね!」
ラミア王女は、ふんっ、とそっぽを向いてしまうった。
カイル王子もむかっときたようだが、
「んっ!!」
と馬車に乗るために、手を差し出した。
「え?」
「んっ!!
早くしてよ、鈍臭い。」
「なっ…!
失礼ね!」
ラミア王女は、パンッと、いい音が出るくらい勢いよくその手を取った。
「ってぇ!
このガサツ王女!!」
「うるさいわね、このくらい何よ、小さい男ね!」
「なんだと!?」
ラミア王女は口喧嘩しながら馬車に乗り込み、カイル王子も後に続いた。
…喧嘩する程、なんとやら。
二人が馬車の人となったことで、ついに出発となった。
「さ、レオ。
俺達は馬車の両脇だ。」
「ああ。」
忠純は、王子王女の護衛のために馬車の脇につないでいた馬に乗った。
その時、忠純の体に電流が走ったような衝撃が訪れた。