天神学園高等部の奇怪な面々ⅩⅢ
無言のまま、静かに扉を開けるアリスカ。

図書室は、いつかのように薄暗いままで、無人でアリスカを出迎えてくれる。

…いや、無人ではないか。

「…………」

今日も図書委員の座るべき席…その机に腰掛けて、江李 真晝が本を読んでいた。

淡い肩までの髪、あまり感情を表に出さない顔。

しかし冷たさは感じさせず、穏やかに視線を誌面に走らせる。

「あ…」

真晝がいた事に、アリスカは少し息を呑む。

…天神学園に、無人の場所などない。

どこに行っても、誰かがいるのだ。

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