俺はその時、どう行動するか。
しかし従業員の男も今さらホテル側のミスだと簡単に認める訳にはいかないのか…



「しかし…やはりお電話は間違いなくあったかと…」


「はぁ?」


「そのように記録が残っております」



男は低姿勢ながら、けして譲らない。



「でも…だから俺、絶対にそんな覚えは…」


「申し訳ありませんが…これ以上はこちら側からは分かりかねます」


「…………」



男は老眼鏡を外すと俺に頭を下げた。



「そ…そんな訳ないでしょう!」



俺はフロントをバンと叩いた。


そっち側のミスに決まってるだろ!


俺本人に記憶がないってのに…あり得ないだろ!!






「だ…大丈夫ですか…?悠人さん」



俺たちのやり取りを心配したのか、綾音が遠慮がちにフロントへやって来た。


不安そうな綾音の表情に、苛立っていた俺はハッとする。


フロントの中を見ると他の従業員も不安そうな瞳をしていた。


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