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「ぶっ! そっ……そ……ういう関係なのかっ? おまえ達……」
「あら? いけない?」
先生は、酷く驚いたようだ。
「いや……悪くはないよ。だけど、軽々しく言うんじゃないぞ……そういう事は」
先生は困ったように顔をしかめ、また窓の外を眺めた。
「はい、先生!」
「到着いたしました」
講堂までは歩くと時間がかかるが、ハイヤーを使えば、ほんの少しの距離だ。
あっという間に到着してしまうのね。もう少しドライブを楽しみたかったわ。
運転士がドアを開けて、最初に先生が降りる。
私が左手だけを出すと、先生は首を傾げた。
「エスコートしてくださる?」
「えっ? ああ……」
照れる先生の姿も、またカッコいい……
ツンデレなのね?
左手には、少し汗ばむ棗先生の手。
ようやく車から降りた私は、ため息をついた。
無駄に大きな講堂には、生徒が溢れている。
「生徒と、接するのは禁止されているんだ……手を離していいか? 紫音」
「あら? 先生、私は紫音茉莉果よ」
「紫音茉莉果は、俺の生徒だ」
嫌がる棗先生の手をギュッと握り締めると
生徒を掻き分けて講堂に入っていく。