SWeeT†YeN
「なっ……棗くん!? 君は優秀な教師だというのに……」
講堂に入ると、学園長が禿げ上がった頭をテカテカさせていた。
妖怪テカテカ……
彼をそう呼ぶのは、私だけじゃないはず。
「っ! 学園長! 違うんです! これは……」
「あら、学園長ごきげんよう。今朝は、私から棗先生にエスコートをお願いいたしましたわ。彼は本当に良い先生です。父にも伝えておきます」
「そうですか! 棗くんは若いのに中々優秀でして……」
「そうですわね。学園長。では、ごきけんよう」
テカテカが……
私にまで伝染しそう。
棗先生の腕を、グイッと引っ張り式典の会場へと入った。
生花が飾られた壇上。ビバルディの『春』のBGMが流れている。
「紫音、そろそろ職員の席に着きたい。この手を離してもらっていいか? 執事さんが、ヤキモチ妬くぞ」