SWeeT†YeN
「逃げないわ……」
もう、あの屋敷には戻れないかもしれない。
私の全ては柏原のもの……
「私は柏原に従う。でも、どうすればいいの?」
柏原は、優しく微笑むとベッドから立ち上がる。
「まずは、朝食にしましょうか。カボチャのポタージュを作ります」
「うん……」
そう言いながら、柏原は私を振り返らずに部屋を出ていってしまった。
一人残された私は、真っ白なネグリジェの袖から出ている腕を見つめた。縛られていた部分が青くなっていた。
柏原が迎えに来てくれた。
柏原が傍にいてくれる。
でも、なんでこんなに悲しいんだろう……