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「……っく」
柏原の様子がおかしい。
「柏原……泣いてるの? そんなに執事でいたいなら、婚約は今すぐじゃなくてもいいわ……」
少し心配になってきたわ……
どうしよう……
「柏原ごめんなさい。突然過ぎたわよね」
「…………ええ」
ゆっくりと、柏原の額が私の肩からあがっていく。
「……ッククク……ははははは」
泣いてるわけなんてないしっ!
この性悪執事!
全身全霊で笑ってるわよ!
「ハハハハハっ……!」
声を抑えながらもクスクスと笑いは抑えられていない。
綺麗な漆黒の瞳は、細目られたまま私を囚える。