BLack†NOBLE
目の前には、パン屋のような店があり。女性客で賑わっていた。
『このお店ナポリにしかなくて、ここのスフォリアテッレ凄く美味しいの~』
スフォリアテッレとは、イタリアの焼き菓子だ。
貝の形をしたパイ生地に、アーモンドクリームやリコッタチーズなどを挟み焼いたもの……
『そんなもの……別の日に買いにこい』
やはり、運転は俺がするべきだったか……
『やだ。私、ナポリに来たら絶対にこの店でスフォリアテッレを買って食べるの』
脱力しながらも、諦めている自分がいる。俺にかまわずアリシアは、車外にでた。
先程エミリーのアパートでブリオッシュを食べただろう……ブリオッシュはパン生地にミルクを使い甘く焼いたものだ。
スフォリアテッレだろうが、ブリオッシュだろうが大した差がない。
だけど、それは男の感性であり。女はそれを許さない事を俺は長年の経験で熟知していた……