BLack†NOBLE

 コイツ……人の隙ばかり突いてきやがる。心底頭にくる奴だ。


 言い返す言葉が見つからない俺を鼻で笑う蔵人。


『茉莉果、茉莉果と騒ぐな……茉莉果の身代りなんて幾らでも見つけてやると言っただろ。

 それにローザも茉莉果も危険に曝されているわけではない。俺のファミリーは有能だ』



『彼女の代わりなんて、この世に存在しない……』



 俺は彼女じゃないとダメだ。未来に色なんてなかった。モノクロでつまらなく過ぎていくだけだと思っていた。


 彩りを与えてくれたのは、彼女。その存在があるからだ。



『まあ、いい。瑠威には、迷惑かけているから話してやる。

 アメリカにいる奴等とは昔から気が合わなかった。奴等がこの国で少しの自由を主張してきた。

 俺が甘やかし過ぎたのが原因だ。ミラノと、シチリア』



 蔵人は、俺の手を『邪魔だ』と払う。

 それから机に広げた地図でその位置をトントンと指差し脈絡のない話をする。


『奴等の狙いは、この二ヶ所。俺はそれを許すつもりはない』


 蔵人が何の話をしているのか理解できない。

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