BLack†NOBLE


 俺たちが船を降りると、数十名の男たちが列を成し直立の姿勢を保ち、黒い道を作る。

 ラテン系の髭をはやした男が、蔵人の前で両膝をつき……その手の甲にキスをする。


『シチリアへようこそいらっしゃいました』小さく呟きキスをする。


『カルロ、出迎え感謝する』


 それがファミリーの掟なのかもしれないが蔵人に間違えられては困る。


 俺は両手を後ろに組み、蔵人に続いた。




『さすがシチリアファミリーは本土とはひと味違うな。ナポリの連中は狙撃の余波で見送りすら出てこなかった』


 蔵人の横顔には、疲れた様子はなく。その堂々とした風貌は、どこからみてもマフィアのボスだ。




『怪しい船は、容赦なく沈めろ』


 蔵人が人差し指を海底に示すと『はい、ボス』と低い声がハモる。




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