BLack†NOBLE


 今日は、一日の大半を無駄な移動に費やしてしまった。もうすぐに日が暮れる。日本にいたならばお嬢様のディナーの準備に勤しんでいる時間だ。



 
 はやく帰りたい……



 あの平和な時に、帰りたい。



「今夜は、ここに泊まり。明日はヘリでフィレンツェに戻ろう」


「フィレンツェに? 彼女を返してくれるのか?」



「今夜、じっくり答えを出すことだ」

 

 そんなのじっくり考えなくても答は出てる。ひねくれた奴だな。

 回りくどいやり方だ。


 レイジが車の扉を開く。




「茉莉果もお前に、とても会いたがっている。俺も、ジェロが撃ち殺されないかが心配になってきたところだ。

 後は瑠威が決めろ。ただ、何度も言うが俺はお前にはイタリアに残ってもらいたい」


< 173 / 509 >

この作品をシェア

pagetop