BLack†NOBLE
今日は、一日の大半を無駄な移動に費やしてしまった。もうすぐに日が暮れる。日本にいたならばお嬢様のディナーの準備に勤しんでいる時間だ。
はやく帰りたい……
あの平和な時に、帰りたい。
「今夜は、ここに泊まり。明日はヘリでフィレンツェに戻ろう」
「フィレンツェに? 彼女を返してくれるのか?」
「今夜、じっくり答えを出すことだ」
そんなのじっくり考えなくても答は出てる。ひねくれた奴だな。
回りくどいやり方だ。
レイジが車の扉を開く。
「茉莉果もお前に、とても会いたがっている。俺も、ジェロが撃ち殺されないかが心配になってきたところだ。
後は瑠威が決めろ。ただ、何度も言うが俺はお前にはイタリアに残ってもらいたい」