BLack†NOBLE

「掟は、お前自身だろ? 変えればいい」


 蔵人は、黙った。



 ローザの住むのは、マンションと聞いていた。日本での滞在が長かったせいで、自分が住んでいるマンションを想像してしまった。



 車は、蔦の葉が絡まる鉄の門を潜る。斜面を利用してコーテージのような独立した建物が段々畑のように建っている。

 どれも日本の一般的な建て売り住宅よりは広く、庭には花が咲き乱れていた。



 こっちでは、これもマンションと呼ぶ。

 緩やかな右に左にとカーブする坂道を上がり、一番見晴らしが良さそうな一角で車が停車した。


 他のコーテージとは造りが違う取り分け大きな建物が目の前にあった。

 ここだけは、俺の目線ほどの高さの塀に囲まれ門番が二人立っている。



 奴等も蔵人のファミリーだろう。俺と離れていた間に、随分物騒な家族をたくさん手にいれたんだ。



「ローザの手料理は、最高だ。瑠威もきっと気に入る」



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