BLack†NOBLE
彼女は『ええ』と短く答え、俺の存在に気がついた。
『瑠威、ローザンヌだ』
蔵人は、ゆっくりと立ち上がる。表情は、とても穏やかだ。
『あなたが、瑠威ね? まあ……藍(あい)によく似ているわ』
ローザは俺にも手を伸ばす。足が不自由なのだろう……彼女は車椅子に座っている。
蔵人の愛した女性というから……どんな女性だろうと想像していた。
ローザンヌは可憐と言えば可憐で清楚な女性だけど、予想より年を重ねている。
あのアリシアの情報を鵜呑みにした俺がバカだった。溺愛というより、親愛だろ。