BLack†NOBLE




『瑠威は何も知らないのね。なんでこのタイミングなのかしら……それに何から話せばいいのか、今夜は長い夜になりそうね』



 涙を拭うローザは、運ばれた料理に向かって十字をきる。手を軽く握り額から胸、それから左右の肩に……



『まず、祈りを捧げましょう』


 両手を組むと、ダイニングテーブルに肘をおき俯いた。

 クリスチャンは、食事の前は必ず黙祷して祈りを捧げる。その食事にありつけることを神に感謝するのだ。


 蔵人も両手を組み瞳を閉じた。長い長い沈黙が俺たちを包み込む。




 天に召します我等の神よ。


 神は、俺たちに試練を与えた。


 それは、俺たちが同じ道を行くための試練なのかもしれない。



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