BLack†NOBLE
────夜の戸張が完全におりて、俺は一人で綺麗に整備された庭を眺めながら食後のグラニータを口にしていた。
ウォッカとブランデーをグレープフルーツとレモンサイダーで割ったカクテルだ。程よい酸味、後味がとてもいい。
遠くに海岸線の光と、行き交う船の灯りが見える。静かな夜だ。
「シャワーは?」
「いい」
黒いスラックスに、黒い半袖のティーシャツ姿の蔵人。真っ白なタオルで、頭をゴシゴシと乱暴に拭いている。
艶やかな黒髪がその顔を隠すが、半袖のティーシャツからは薔薇の紋様の刺青が見えていた。
右腕から突き出た、毒々しい一輪の薔薇。蔦は首元にまで絡み付く。俺の知る蔵人には、こんな紋様はついていない。