BLack†NOBLE
「俺に太陽の馬車を扱う力があると思うか?」
珍しい……蔵人の弱気な声が聞けるとは思わなかった。
「あろうがなかろうが、手綱を握った以上どうにかしろよ」
「相変わらず、口だけは生意気だ」ククッと笑うと、もう一度空を見上げた兄に「お互い様だろ」と返事をした。
「ゼウスに撃ち落とされるか……父が太陽神であると認めさせることができるのか? それにしても、そんなことに何の意味があるんだろう」
蔵人は、それ以上何も言わずに運ばれてきたグラニータをゆっくりと味わう。
この男の六年は、俺より遥かに残酷な六年だ……