BLack†NOBLE

『瑠威は自分のことを何も知らない。着てろ、茉莉果を泣かせたくないならな』




 蔵人は、無理矢理に俺にチョッキを着せると……拳銃に素早く弾丸を装填させる。



『自分のことは自分が一番よくわかってるつもりだ』


 また大きな爆発音がした。光が近い。銃声がする。


『これだけ派手にやり合えば、さすがに警察が動くだろう。レイジ、ヘリを呼んでおけ』


『手配済みです』


『優秀だ』



 俺たちの車は、強行突破でクルーザの停まる桟橋まで猛スピードで駆ける。心臓が嫌な音をたてて動き、不快な汗がでる。


 蔵人の仲間は、海に向かって発砲を繰り返していた。 二台の車が、ガソリンに引火したのか炎上している。爆発音の正体はこれだ。船は無事だが、今にも沈みそうだ。





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