BLack†NOBLE
『蔵人! アリシアがいた!』
その船の隅で、身を丸めて踞るブロンドが見えた。
『レイジ! すぐにアリシアを車に乗せろ!』
『はい』
暗い海からの銃撃は、情け容赦ない。車体から弾けるような音がした……
『瑠威! そっちの扉からアリシアを拾え、この車は防弾仕様だ。安心しろ』
『わかった』
マセラティのフロントガラスに鋭い鉄が食い込み、前面に小さな蜘蛛の巣状のひび割れができる。
『船から発砲して海に逃げるつもりか、まるで海賊みたいだな。レイジ、航路を塞いでやれ』
『やれるだけのことは、やってみます。ボス』
『瑠威は、アリシアを頼んだぞ』