BLack†NOBLE


 車が停まり、すぐに扉を開いた。


『アリシア!』


 踞ったアリシアに手を伸ばす。よかった。怪我はしていない。

 船が盾となり、此処に弾丸は届かない。


『何してる! はやく車に乗れよ!』

『クロード!?』


『残念でした。俺だ』


『瑠威……瑠威! コワかったよ……』


 アリシアを抱きとめて、頭を撫でた。彼女以外の女を抱き締めて喜びを感じたのは初めてだ。

 これは、この女が蔵人にとって大切なものだからだろう。


『後部座席に乗れ』


『うん!』
  

 蔵人の姿はない。



『瑠威様、車をお願いします……クロード様を援護しないとなりません』


 レイジは血相を変えて、大きな銃をかついだ。そんなもの撃てば、反動で体が飛ばされそうだ。


『俺にも銃を』


『ありません。あなたは我々の仲間じゃない』


『さっき蔵人が、次は俺だと言ってただろ!』


『話は少し複雑です。私は行きます。車とアリシア様を頼みます。直ぐにへリが来ますので』



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