BLack†NOBLE
両手から溢れ出す暖かい蔵人の鮮血。止めることは出来ずに……着ていたシャツを破り、まだ傷口を強く圧迫する。
『蔵人!! 返事しろ……』
頼むから……死ぬなよ。
俺がいなかったら、蔵人は防弾チョッキを着ていたんだ。
こんな怪我をせずに済んだかもしれない……
『操縦士、病院まであとどれくらいで着く?』
『はやくて十分……無線で受け入れ要請をしています!』
十分か……ヘリは轟音と共にイタリア上空を移動する。時おり縦に揺れながら、絶望と共に進む。