BLack†NOBLE


────「柏原、遅かったじゃない! 何をしていたの?」


 部屋に入るなり、夕食の席に遅れたことを咎め立てられた。


「せっかく二人きりで食事が出来るのに、スープが冷めちゃうわ」


 窓辺に置かれた円卓には、白いテーブルクロスがかけられている。

 テーブルの上には、トスカーナの伝統料理リボッリータが用意されている。白豆と野菜が煮込まれたスープだ。

 照明は、間接的に窓辺と白い壁を照らしている。


 
 照らされた窓辺には、勿忘草が咲いている。


 何かの嫌がらせか?


 勿忘草……
 Forget me not…… 私を忘れないで


 ヨーロッパが原産国のこの花は、イタリアの各家庭でもよく咲いている花だ。


「柏原。なぜ黙っているの……?」


 彼女を傷付けて別れるのが一番いい方法だ。俺を恨み、当てつけに違う男と幸せになってくれればいい。




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