BLack†NOBLE
18.diciotto


────屋敷の一階、東側の建物には椅子が五つ円形に置かれただけの部屋がある。

 再奥の大きな皮張りの黒い椅子を残し、他の四席はすでに埋まっている。


 座っている黒尽くしの男たちは、今までフィレンツェの屋敷で見てきたどんなマフィアより、黒いオーラを放つ。


 身なりは良く、高そうなスーツに着込み、髪は綺麗に整えられて、靴は磨き上げられている。


 そして、冷酷な表情で俺を見ると一斉に立ち上がった。


 俺がレイジに続いて部屋に入ると、扉は締め切られ鍵がかけられた。

 窓はペアガラスで閉じられている。庭園側のカーテンが閉められ、ガーデンアーチの真紅の薔薇が見えなくなってしまった。



 異様な雰囲気に今まで感じことのない"焦り"に囚われた。 さすがマフィアの幹部だ。そのシマを牛耳る威厳と迫力がある。



 この密閉された空間で、俺が消されたとしても大した騒ぎにはならないんだろうな。





< 277 / 509 >

この作品をシェア

pagetop