BLack†NOBLE
19.diciannove

────早朝の静かな時間は好きだ。皆が寝静まるこの時間に、自分だけが動き出し、彼女の寝顔を独り占めしている。

 着崩したスーツ姿で、愛しい彼女の額に口づけをした。


 手放せなかった……どうして、俺はこんなに弱い男なんだろう。たかが小娘一人に、悩まされて振り回されてばかりいる。



 部屋を出ると、蔵人のところに向かった。


『瑠威様、おはようございます』


『レイジ、お前休んでるのか? ずっと働いてるだろ』



『いえ、体力だけが取り柄です。それにクロード様を守れなかった責任があります』



『はいはい、そうか。蔵人も愛されて幸せだな』


< 309 / 509 >

この作品をシェア

pagetop