BLack†NOBLE

『しらばっくれるな! わざとだろ!』


 カルロが『落ち着け! セシル』と一喝するとセシルは黙ってカウンター席に座り込んだ。そのまま口を閉ざす。代わりに喋り出したのはカルロだ。


『我がファミリーから、麻薬密売の逮捕者が出たことにローザ様も悲しむだろう。こんなことは今まで一度もなかった。
 カジノの経営自体は健全だと許しが出たそうだ。満足か? 瑠威』


 落ち着いてはいるが、カルロの口調もどことなく棘がある。
 
 俺は悪くないだろ、このカジノでセシルの手下が麻薬を密売していた。ってだけの話だ。


 その入手先がクロードからでないことの方が、大問題だ。



『イタリアの刑務所なんて犯罪者で満杯だ。麻薬密売なんて、すぐに出てこれるだろ。

 それより、こんな客の入りで儲けがだせるのか? もっと客を呼び込め』



『貴様……!』


 セシルはグラスを掴むと、こめかみの血管を浮き上がらせるほどの怒りを露わにして奥の部屋に消えた。



< 340 / 509 >

この作品をシェア

pagetop