BLack†NOBLE
21.ventuno


────水の都ベニス。ロマンチックな街並みと、水路を行き交うゴンドラ。

 つい数日前、彼女と乗ったゴンドラでは今宵も船頭がカンツォーネを歌っている。


 Maun altro sole

 piu bello non c'e

ll sole mio


 もう一つの太陽
 尚、一層輝かしい太陽



 こんな暗い夜に、眩い光を放ち俺を導いてくれるのか?


 カジノを出てから、さらに一日が経過していた。ミラノから連れてきたオールバック野郎が、俺の隣で顔をしかめて歩く。


『そんな顔されても、俺もお前なんかと歩きたくない。コッグたちからのご指名で、セシルを連れて来いって言うから仕方ないだろ』


 北イタリアに多いゲルマン系の顔立ちだ。ミラノは観光業だけじゃなく、金持ちも多い。

 
『この顔は生まれつきだ。生ぬるいこと言うな』




< 353 / 509 >

この作品をシェア

pagetop