BLack†NOBLE


「日本へ……何度瑠威を迎えに行こうかと考えたか数えきれないくらいだ。


 この屋敷にずっと住んでもらいたいと思っていた。昔みたいに生活できるのなら、瑠威はここにいれば大丈夫だ」



「最初は嫌だったけど、血の掟に誓った。俺はもうメルフィスの一員だ。蔵人がいていいと言うなら、ずっとここにいる」


 右手の傷はだいぶ薄くなったが、まだ鮮明に痕が残っている。

 それを蔵人に見せるが、奴は瞳を閉じたまま。 長い足は投げ出したままだ。




「お前は、弟だ。どんな構成員より、俺に一番近いファミリーだ。

 頭も良くて、決断も早い、人の心を操るのも上手く、組織とは何かを教えなくてもよく理解している。誠実に掟を守り、俺を何度も助けてくれるだろう」



「彼女を諦めること以外なら何でもしてやる」



 蔵人は、唇を引き上げた。


「やっぱり、お前は帰れ」

「だから、何でそうなるんだよ! 茉莉果もここに置いていいなら、それでいいだろ! こっちだって二人で色々と話し合って決めたんだよ!」



 蔵人は欲しかったモノを手にした途端に、"大切なモノ"を増やさないように執着を失うのか?





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