BLack†NOBLE

「明日からは、少し休めよ。仕事があるなら俺が代わりにやるから……」


 蔵人は、ククッと性格の腐った笑い方をする。


「瑠威には、無理だ……」


 ミネラルウォーターが入ったグラスは、汗ばんでいた。水滴がガラスのテーブルに落ちる。


 蔵人は漆黒の瞳を閉じると、深呼吸を一つした。


 俺たちは、よく似ていると言われる。瞳の色と髪質は父親譲りで、顔の造りは母親譲り。



 だけど、蔵人はどこか父親の影が濃い。それはほんの些細なところだ。家族にしか見せない無防備なふとした表情によく現れる。




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