BLack†NOBLE
23.ventitre


───「おはよう……柏原……」


 彼女は子猫みたいに目をこすると、まだ眠そうにベットの上で丸くなる。


「おはよう」

 
 柔らかな栗色の髪を撫でてキスをすると、彼女は瞳を閉じてそれを受け入れる。



「……柏原はよく眠れた?」


「寝ていないよ。貴女の寝顔を眺めていたら寝そびれた」


 後頭部でからまった彼女の柔らかな髪を手櫛で整える。

 朝日を浴びた髪は、艶が天使の輪として浮かび上がり。神々しい程の存在だ。


「何それ……」


 今更恥ずかしそうに枕に顔を埋める。


 とても特別な人。

 薄汚れた世界から、俺を何度も導いて浄化してくれる人。



 彼女が愛しくてたまらない。



「日本に帰りましょうか。茉莉果お嬢様」



「へ? まさかの執事バージョン?」



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