BLack†NOBLE


────屋敷の東側に朝食をとる為だけの部屋がある。朝日を存分に浴びれる贅沢な部屋だ。

 アーチ状の出窓があり、六角形のダイニングテーブルが置かれている。

 部屋の半面が窓ガラスになっていて、朝日が程よく差し込んでくるのだ。


 ダークブラウンのテーブルの中心には、フルーツやサラダやヨーグルトが用意されている。焼きたてのグリッシーニとフォカッチャは、たった今バスケットで運ばれてきた。


『ギャーーーッ!?
 ちょっと瑠威! その女、どこで拾ってきたのよ! 私の許可なしに、勝手にクロードの屋敷に招かないでよね!』


 朝食の席では、蔵人とアリシアが既に食事をしている。日本と違い、皆が揃ってから……という風習はない。


 そういえば、アリシアと彼女は初対面だ。


『煩い、黙れ、馬鹿女』


『ひどっ! 酷~い。クロード、今の聞いた? 瑠威ってば、ああやって私の事苛めるの!』


 蔵人は、アリシアを無視してエスプレッソを啜る。


「おはよう、茉莉果。よく眠れたか?」


「お兄様、おはようございます。昨夜、お兄様が差し入れてくれたティラミス凄く美味しかったわ」


 彼女は、手のひら返したように蔵人になついていた。


「……ティラミス!? いつの間に」


 蔵人が両手を広げると、彼女は吸い込まれるように蔵人に抱き着き……


 ほっ……頬にキスまで許した……!?





『レイジ、俺が預けた拳銃を持ってこい。まだ弾丸が残っていたはずだ』


『瑠威様、あの拳銃は元々クロード様の物です』



< 400 / 509 >

この作品をシェア

pagetop