BLack†NOBLE
こういう性格は、兄弟で似ているかもしれない。手段のためにいくらでも甘く囁ける……
『とても、困っている……大切な人だ。無事かどうかだけでも知りたい』
もし、今
彼女が酷い目に遭い
一人で泣いてるのなら
俺はどうしたらいいのだろう?
『頼むニナ。教えてくれ……彼女は無事か?』
ニナの彫りの深い彫刻のような顔が、俺を見つめる。
『わからない……』
それにしても俺は、彼女の事となると蔵人より遥かに気が短いんだな。
『……っ! この役立たず』
酷い罵声に驚いたニナは、床に倒れた。
何とかして縄をほどこうと暴れだした俺に怯えていた。
ついに彼女は、大粒の涙を流した。
「お嬢様!」
泣きたいのは、俺の方だ……
近くにいるなら、声が届くかもしれない。
腹の底から、声を絞り出す。
「茉莉果様っ!」
お願いだから……
無事でいてくれ……